時々、お客様で新潟の「潟」を「泻」に書く方がいます。
実は「泻」は他県民からみれば新潟県民にしか使われない「謎の漢字」だそうです。
 
この漢字は「潟」の略字で、新潟県内では地元民が手書きで「潟」と書く際に、難しい字体のため使うことが多いとの事。
そのほか、店舗看板や道路標識などの公共物に使われている例もあるらしく、県内の様々な場面で見ることができます。
 
いまや新潟県民だけしか使わないこの略字。その起源とは?
 
そもそも、この略字は新潟で生まれたものではないらしく辞典や教科書の出版で知られる「三省堂」によれば、正確には「新潟にだけ残った略字」なのだとか。
 
江戸時代、全国で刊行されていた辞書「節用集」に記載されるなど全国的にメジャーだった略字なのですが、明治時代に入り出版物の活版印刷が定着した際、販売用の活字一覧表には正しい「潟」の字しか記載されず、全国に流通するすべての印刷物で「潟」が使われました。それに伴い、この略字は全国から徐々に姿を消していったのです。
 
しかし、全国で唯一、地名を書くために日常的に「潟」を使う新潟だけ、この略字が使われ続けてきました。
確かに、毎回「新潟県新潟市」と書かなければいけない新潟市民が、手間の少ない略字を使い続ける気持ちは分かる気がします。
 
このような歴史を持つ「潟」の略字ですが、現在では手書きの機会が減ったこともあり、県民でも使わない人が増えているそうです。
ちなみに、私は最近まで存在すら知りませんでした・・・県民失格です。

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